大学院を出た既卒者は修士で20代半ば、博士では20代後半となっています。
就職活動では既卒のハンデだけではなく、年齢的な問題から不利となることがあります。
しかし、悲観せずに一歩踏み出すことで、見事内定を勝ち取るチャンスはあるのです。
そんな理系の大学院の既卒者が就職活動を成功するための極意を紹介します。
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- 企業でインターンとして働く
- 新卒限定の求人にもチャレンジする
- 就職先の選択の幅を広げる
企業でインターンとして働く
新卒であれば、大学での学業や就職活動に専念していて当然の環境ですが、既卒者は「卒業してから何をして過ごしているのか」と、採用担当者に問われることが多いです。
「就職活動のみ」という答えでは有意義な時間を過ごしているとみなされず、「アルバイト」という答えもマイナスではないものの、仕事内容によっては就職に対する意欲をアピールしづらいでしょう。
そこで、既卒者の過ごし方としておすすめなのが、インターンとして企業で働くことです。
インターンとは「就業体験」を指します。
本来の使い方としては「実際の本採用前の試用期間」といった意味合いを多く含んでおり、アメリカでは社会人であっても本採用の前にインターン期間を設けて適性を見る、という行為が行われることもあります。
日本では「就業体験」の意味合いが大きくなっており、主に学生が就職活動の一貫として業務を体験したり、一足先に企業に入って企業と学生との採用マッチングを計るために使われたりしています。
日本におけるインターンは、大きく分けて
- 短期型
- 長期型
の2種類があります。
それぞれ確認していきましょう。
短期型インターン
「短期型」は大企業に多く、3年生の夏休みなどに1日から3週間程度の期間で行なわれるもので、企業の見学や学生同士でのグループワークが中心です。
「就業体験」というよりも、実際のところは企業側のリクルーティングの一環としての意味合いが強い側面があります。
前述した例でいうならば、「企業と学生との採用マッチング」といえるでしょう。
学生のグループワークには企業側の先輩社員がメンターとして付くことがあり、企業・学生双方がワークを通じてお互いの確認をしています。
企業側は、内部の人間から社風や働き方などを伝え、学生側はそれが自分に合っているか感じ取ります。
企業は優秀な学生に早い段階から目星をつけることができ、学生は実際の就活解禁前に企業と知り合えるというメリットがあります。
少し長い企業見学のようなものだと理解すればいいでしょう。
長期型インターン
この記事でお伝えしている理系大学院卒の既卒におすすめする「就活成功の極意」としてのインターンは「長期型」のほうで、ベンチャー企業での募集が中心となっています。
期間は3カ月から1年程度。
実際に業務を行うなどして、本格的な「就業体験」を積むことができます。
インターンは優秀な学生を確保するために有給とするところが多いので、一般的なアルバイトをして過ごすことと比べても、企業でのインターンがおすすめです。
インターンの対象者は企業によって異なり、大学や大学院、専門学校、高等専門学校の在籍者に限ることが多いですが、既卒者や社会人でも可とする企業もみられます。
IT系企業のエンジニアのインターンの募集では、プログラミング知識があることが前提ですが、習った程度でも採用される企業もあれば、専門的な知識を求められる企業まで差があります。
高度な知識を持つ既卒者であれば、むしろ歓迎されることもあるのです。
研究と違い、企業で利益を優先して働いていくうえでは、割り切って考えなくてはならない部分が出てきます。
しかし、「研究に没頭していた大学院卒者は割り切って考えることが苦手だから、企業で働くことが向いていないのでは……」と憶測で判断される可能性もあります。
インターン生として就労するのは、研究とビジネスの乖離を埋める適性があるとアピールするうえでも有効です。
またエンジニアとしての就労では、プロダクトを開発するなどして実績を残すことができれば、就職活動でのアピール材料にもなります。
さらには、インターンとして働いていた企業で内定を得られるケースもあり、メリットは大きいのです。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
インターンから内定につながらなくても得るものは大きい
インターンで企業内部に入って働くことで、以下が分かります。
- その企業の社風
- その業界の雰囲気
短期型でもこれらを知ることは可能ですが、長期型インターンで働けば業界慣習などに触れる機会も増えるため、特におすすめです。
その業界が合っていればその業界で就職活動をすればいいですし、前述のようにインターン先の企業から内定をもらえることもあります。
院卒者は学部卒者よりも年齢的に遅く就職することになりますし、既卒であればさらに遅くなります。
インターンで先回りして働いておくことは、社会に出るうえでも有用です。
また、その企業や業界が合わなかったとしても「就職後のミスマッチ」の可能性を減らせるという点で有益です。
特に、長期型インターンの場合はクライアントや下請け企業などいろいろな企業・業界に触れられるのがポイント。
1社で長期型インターンを経験するだけで、複数の企業・業界の知見が広がるため企業選びの幅が大きく広がるのです。
新卒限定の求人にもチャレンジする
新卒採用の企業は既卒者も可としている企業もあれば、表立っては受け付けていない企業もあります。
しかし、ここで「既卒可」と書いていない企業を全て除外してしまっては、就職活動を成功させるチャンスを狭めてしまうことになります。
募集要項に「既卒可」との記載がなく、ホームページなどでのエントリーシートへの入力で卒業年度等が入力できない場合でも、興味のある企業には問い合わせをしてみましょう。
ダメもとで問い合わせたうちの数社は、選考のスタートラインに立てるかもしれません。
新卒・既卒を問わず、人物本位で採用活動を行なう企業もあります。
新卒に限定されている求人であっても、既卒の応募者側が自ら範囲を狭めてしまうことはないのです。
就職先の選択の幅を広げる
新卒の就職活動で内定を得られなかった人の中には、応募する企業の選択の幅を狭めていたことが原因の人もみられます。
特に、理系出身の大学院卒者では「大企業」かつ「研究職」のみを視野に入れた就職活動となりがちです。
理系院卒の花形として、大企業の研究職が魅力的に映るのは当然のこと。
学生の頃の研究を熱心に行っていたのなら、それをそのまま仕事にしたいという気持ちも分かります。
しかし、前述したように「研究」と「ビジネス」の間には、ある程度の壁があります。
加えて、基礎研究に巨額の費用を投じられるような大企業は限られており、またそのような大企業の研究職も狭き門となっています。
もし新卒の際に応募企業や職種の幅を狭めてしまっていたのだとしたら、既卒の就活では応募先企業や職種の幅を広げてみることをおすすめします。
企業規模の幅を広げてみる
大企業なら安心という時代は終わり、今は中小企業であっても成長産業であれば、10年後には会社組織が大きくなっている可能性もあります。
特にスタートアップやベンチャー企業は、優れたビジネスモデルで収益を確保できていたとしても、優秀な人材の確保が難しい面もあります。
そのような企業をターゲットに就活をしてみるのも、手段の一つ。
大企業相手には苦戦している既卒者も、ベンチャー企業からは引く手あまたの人材となる可能性もあるのです。
職種の幅を広げてみる
研究者としての就職は基本的に狭き門であり、優秀な新卒たちが取り合っている状況にあります。
そのため、現実的に既卒者が研究者の仕事に就けるケースは限られていると考えたほうがいいでしょう。
研究者にこだわらずに就職活動を行うのなら、たとえ既卒だったとしても早いほうが比較的有利です。
間口が広い職種には、営業職が挙げられます。
「営業職は文系の仕事で、理系は向いていないのではないか」と考える方もいるかもしれません。
ですが理系や文系といった区別は仕事をするうえではあまり関係なく、重要なのは「何が得意で、何ができるか」です。
理系だと営業職には就けないということもありませんし、逆にいうと「文系だから、無条件で営業が得意」というわけでもありません。
例えば営業は、その業界の“知識”が必ず必要になります。理系出身だからこそ分かる製品に関する知識は、営業では必ず役に立つのです。
しかし、理系で大学院まで進んだ人が営業職を志望する場合、なぜ技術職でなく営業職がやりたいかという点が、採用担当者が疑問に思われやすいところです。
ここで、たとえ実際には「仕事がないから営業」という理由であっても、営業がやりたいことが伝わるような客観的な理由を用意しておく必要があります。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
キャリアチェンジは若いほうが有利
大学院を出た既卒者は学部卒者と比べて、年齢的な問題も出てきます。
別の職種での就職を考えたとき、キャリアチェンジは若いうちのほうが有利です。転職者でも未経験の職種に就きやすいのは25~26歳、遅くても30歳くらいまで。
社会人経験がなく20代半ばを迎える大学院の既卒者は、その状態ですでに30代が目の前に見えており、かなりギリギリ。
時間の経過とともに、ますます正社員としての就職は不利となってきます。
将来性も考えて、早めのキャリアチェンジを視野に入れることをおすすめします。
情報共有できる場をつくる
大学院の既卒者の就職活動は、悩みを共感しあえる仲間が周囲にいないことが多いです。
孤独な就職活動では、少し上手くいかないことがあっただけで、ネガティブに考えてしまいがち。
そこで、セミナーや面接などの就職活動で、待ち時間などに話しかけるなどして仲間を作りましょう。
SNSの連絡先を交換するなどして、情報交換できるグループをつくると心強いものです。
また、人材紹介会社によっては就労経験のない既卒者も対象としていますので、アドバイザーに就職活動の悩みを相談してみましょう。
専門家に相談するのも有用
大学院を卒業した既卒者の就職活動の極意は、バイタリティーを持って行動することに尽きます。
新卒がメインのインターンや新卒のみを募集する企業に応募するにしても、応募する企業の幅を広げるにしても、どれをとっても積極性が必要とされることです。
バイタリティーを持って、自らの道を模索していくことは、就職後の仕事での成功にもつながります。
ですが、自分の力だけで就活を進めるのは不安もありますし、なにより疲れてしまうこともあります。
そんなときにおすすめなのが、専門家に相談してみること。
バイタリティーを発揮するにしても、やみくもに思いつく限り行動するよりは、より効率的に活動したほうが成果が上がりやすくなります。
どのように行動していくべきか、自分の状況と合わせて一度専門家に相談してみましょう。
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まとめ
理系院卒で、なおかつ既卒で就活するなら、バイタリティーをもって積極的に行動するのがポイント。
- 長期型インターンに参加する
- 新卒限定の募集にも応募してみる
- 就職先の幅を広げて、ベンチャーにも応募してみる
- 就職先の幅を広げて、研究職以外にも応募してみる
- 仲間と情報共有する場を作る
- 専門家に相談してみる
このように、取りえる手段はいくつもあります。
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