もくじ
「実務経験がないけれど経理職に魅力を感じる」
「未経験でも経理職になるにはどうしたらいいのだろう?」
職種選びの際、このように考えたことはありませんか。
しかし未経験から経理職になるのは、正直なところ結構大変。
今回は未経験から経理職になるためのヒントをお伝えします。
- 経理職の仕事内容やキャリア
- 経理職に必要なスキルや資質
- 経理職のメリット・デメリット
- 未経験から経理職になるためのヒント
「実務経験はないけれど、経理職になりたい!」
そう考える人の手助けになれば幸いです。
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そもそも経理職ってどんな仕事?
そもそも、経理職とはどのような仕事なのでしょうか。
未経験だと仕事の中身までは見えづらいですよね。
ここでは具体的な仕事内容とキャリアについてお伝えします。
経理職の具体的な仕事内容
具体的には次のような仕事を担当します。
- 売上・入金の確認
- 経費精算
- 小口精算
- 預金管理
また、会社全体のお金の流れを把握するのも大事な仕事です。
週単位、月単位で費用と収益のバランスをチェックし、記録していきます。
収支のバランスが崩れた時には分析を行ない、関係部門に改善を提案する場合もあります。
経理職のキャリア
経理はキャリアパス(各ポジションの役割)が明確になっている専門職。
企業は長期的に雇用し、育成していく必要があります。
例えば、仕訳業務→決算・税務申告補助業務→財務諸表作成といったように、経験を積んで昇進していくと業務内容が明確に変わってくるのです。
“仕訳業務”のような仕事は比較的単調な作業が多いので、経理スタッフや事務の方が多く、綺麗なピラミッド構造が出来上がっています。
その結果、限られた社員のみがキャリアアップし、経理の入口ポジションである『経理スタッフ』や『経理事務』は正社員ではない方が担当することが多いです。
もしくは新卒者を配属し、その後1〜2年で現場に異動させることもあります。
経理職に必要なスキル
専門職である経理職では、どのようなスキルや資格が必要なのでしょうか。
大きくわけて次の2つが必要です。
- パソコンスキル
- 簿記関連の資格
一つずつ見ていきましょう。
パソコンスキル
昭和の時代なら、そろばんと帳簿が経理の代名詞でした。
しかし現代では、経理の仕事にパソコンスキルは必須です。
Excel・PowerPoint・Wordなどの操作に慣れ、ストレスなく使えるようになっておきましょう。
会計ソフトの操作も習得しておくとさらにGood。
使用する会計ソフトは企業によって異なりますが、どれか一つでも習熟しておけば他のソフトにもすんなりなじむことができます。
簿記関連の資格
資格取得にこだわりすぎるのは良くないのですが、経理を狙うなら簿記は取得しておくに越したことはありません。
一般に簿記3級からチャレンジする人が多いですが、ビジネスで使うなら最低でも2級以上は取得しておきたいもの。
他にもビジネス会計検定・FASS検定・BATICなどさまざまな資格があり、取得しておくと有利になります。
経理職に必要な資質
経理職に必要な資質は以下の2つです。
- 数字や細かい計算が好き
- 真面目で根気強く仕事ができる
具体的に解説します。
数字や細かい計算が好き
お金を扱う経理職では、何と言っても数字や計算が好きであることが大事です。
- 子どもの頃からまめにおこづかい帳をつけていた
- お金の貸し借りは絶対に忘れない
- 割り勘の時暗算で計算するのが得意
- 財務に興味があり、財務諸表などを見るのが好き
以上のような人には適性があるでしょう。
反対に、「家計簿なんて絶対つけたくない」「細かい計算は苦手」という人には向いていないといえます。
真面目で根気強く仕事ができる
経理職に就く上では、経理に適した性格であることも意外に重要。
なぜなら、計算が合うまであきらめず取り組むことが求められるからです。
- 真面目でコツコツ取り組むことが得意
- 正解が出るまであきらめずに問題を解こうとするタイプ
- ちょっと融通が効かないと言われることもある
「まあいいか」は許されない仕事であるため、このように黙々と作業に取り組める真面目な人が向いています。
経理職のメリットとは?
たとえば以下の2つです。
- ワークライフバランスを確保できる
- 将来性があり、需要が途切れることはない
自分で仕事のスケジュール管理がしっかりできていれば、残業や休日出勤は比較的少なく抑えることができます。
そのため家庭や育児、趣味との両立がしやすい仕事です。
ワークライフバランスを大切にしたい人にはぴったりですね。
また、企業が活動していく上で「お金の管理」が必要なくなることは絶対にありません。
AIの発展により、経費精算や請求書データの会計ソフトへの入力など、サポート的な業務がコンピュータに奪われる可能性があるのは事実。
しかし、イレギュラーな経理業務や最終確認については、まだまだ人の手が必要です。
すなわち、需要が途切れることはありえないのです。
このことから将来性も保証されているといえます。
「長く安定して働き続けることができる」のが、経理職のメリットなのです。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
同じメリットをもつ他の職種
「ワークライフバランス」「将来性」といったメリットをもつ職種は、経理だけに限りません。
たとえばITエンジニアはどうでしょうか。全く畑違いの職種ですが、働く上でのメリットは経理と全く同じです。
まず「ワークライフバランス」について。ITエンジニアはリモートワーク可の職場が多いのが特徴です。
フレックス制度や裁量労働制など自分の生活に合った柔軟な働き方ができる職場も多いです。
そして「将来性」も大きなポイントです。
IT関連の業界は慢性的な人手不足に悩んでおり、志望者は引く手あまた。
IT関連はこれからも成長し続ける分野であることから、経理以上の将来性が期待できます。
経理を志すのもとても良いことですが、ちょっと視野を広げて他の職種に目を向けてみるのもおすすめです。
経理職のデメリットとは?
経理職のデメリットとしては以下の2つが挙げられます。
- 作業が単調でクリエイティブさに欠ける
- デスクワークが多く、人間関係が狭くなりやすい
お金の流れを管理する経理職では、決められたことをきちんとこなすというのが大事です。
裏を返せば、クリエイティブな仕事ではありません。
自分で工夫して新しいものを生み出したり、リーダーシップを発揮してプロジェクトを進めたりしたい、という人には向いていないでしょう。
また、日がな一日PCに向かう仕事のため、運動不足になりやすいという一面もあります。
関わる人間関係が限られてしまうため、たくさんの人とコミュニケーションをとることが好きな人にはストレスフルな環境ともいえます。
新卒で経理職が難しい理由
ここまで、経理職の概要やメリット・デメリットについて見てきました。
「自分は経理職に向いているかもしれない」
「未経験だけれど、経理職をやってみたい」
そう感じた人もいるのではないでしょうか。
しかし結論から言うと、未経験の人が経理職として採用されるのはかなり難しいのです。
理由は以下の2つです。
- 実務経験が重視されるから
- 求人そのものが少なく倍率が高いから
ひとつずつ見ていきましょう。
実務経験が重視されるから
前述したように、経理職ではお金の流れを管理します。
実務経験とは、次のようなものを指します。
- 主計:現金出納・売掛金管理や年次決算などの会計全般
- 管理会計:予算に対する収益から会社の課題特定~解決策の提案など
- 財務:金融機関からの借入・社債発行などの他、投資家との関係構築
以上の経験がある人と、まったく経験がない人がひとつのポストを争うことになったら……どうしても実務経験のある人が有利になります。
未経験の人に任せて会計上のミスがあっては取り返しのつかないことになってしまうからです。
経理を募集している企業が求めているのは「フレッシュさ」ではなく「即戦力」。
経理としての実務経験があり、実績をもっている応募者の方が絶対的に有利なのです。
求人そのものが少なく倍率が高いから
経理の場合、一度就職した人は同じ職場に長年とどまる傾向があります。
なぜなら、前述したように経理は「長く働き続ける」ことに適した職種だからです。
ワークライフバランスを重視する人にとっては好条件。
そのため、退職する人は少ないのです。
辞める人が少ないので、当然求人の数も多くはありません。
倍率が高いので、未経験の人は少ないポストを巡って経験者と争うことになります。
完全な未経験から経理職をめざす難しさがご理解いただけたかと思います。
しかし、まったく方法がないわけではありません。
たとえば「税理士補助経験を積んで経理職に就く」という選択肢もあります。
こちらの記事に詳細をまとめているので、合わせて読んでみてください。
どうしても未経験からストレートで経理職を狙いたいなら
未経験から経理職をめざす大変さについて見てきました。
それでも、「どうしてもストレートで経理職を狙いたい!」と考える未経験者もいることでしょう。
ここでは、未経験の人が経理職を狙う際のコツを2つ伝授します。
- 入念に企業を選ぶ
- 戦略的に面接準備をする
中小企業を選ぶ
経理職を募集している企業のうち、どこを選ぶかがとても大事です。
まず重要なのは「大手企業は狙わない」ということ。大手企業は実績を重視するところが多いためです。
それよりも、中小企業で若手を積極的に採用しているところに狙いを定めましょう。
就職活動では、業務内容や主力製品、財務状況などの企業研究も必要になります。
まずは事務・総務系の総合職に就職する
未経験からいきなり経理部門への就職は難関です。
そのような場合、まずは事務や総務系の総合職で就職するのも一つの手です。
なぜなら、経理と事務・総務は仕事内容に共通点があるから。
まず総合職で経験と実績を積み、特にお金回りの仕事を積極的にこなすと、経理部門への異動という道が開けてくることがあります。
一見回り道のようにも見えますが、総合職であれば未経験でもハードルが一気に下がります。
最初から経理部門を狙うよりも、こちらの方が現実的な方法だと言えるでしょう。
税理士事務所・会計事務所・金融機関に就職する
経理部門からのスタートではなく、税理士事務所や会計事務所、金融機関で経験を積むのもおすすめです。
企業の中で経理を担当するのも良いですが、上記のような場所でお金回りの業務にどっぷり浸かるのも、向いている人にとってはやりがいがあるもの。
また、実績や経歴を元に企業の経理部門へ転職することもできます。
「何がなんでも企業の経理部門」と思い定めてしまうよりも、広い視野で「自分がやりたい業務とは」と考え、それを実現できる場所を見つけるつもりで探しましょう。
戦略的に面接準備をする
経理に限ったことではありませんが、面接準備は就職活動の「キモ」となる部分です。
特に大切なのは志望動機です。
「なぜ、未経験にも関わらず経理職になりたいと思ったのか」がしっかりと伝わるようにしましょう。
高評価な志望動機の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 経理によって会社の経営を支える貢献がしたい
- キャリアプランとして、財務までできるような人材になりたい
- 会社の財務をしっかり管理し、ゆくゆくは資金調達などに貢献したい
単に「お金の管理がしたい」だけでなく、会社全体への貢献を見据えていること、キャリアプランをしっかり持っていることがアピールできると良いですね。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
志望動機は他の職種でも非常に重要
志望動機は、書類選考と面接においてとても重要な評価ポイントです。
これは経理職に限らず、どの職種・業種を志望する場合でも同じ。
採用側は志望動機から「その人の強み」「人柄」「キャリアプラン」「どれくらい企業や業界のことを理解しているか」などいろいろなことを推し量ろうとするのです。
具体的で説得力のある志望動機を作るためには、自己分析と業界研究を入念にしましょう。
一見回り道のように思えるかもしれませんが、基本的なことを積み上げた先に採用担当者をうならせる志望動機があるのです。
視野を広げて就活を行おう
「これ!」といった自分の軸を定めるのはとても素晴らしいことですが、視野を狭くしすぎてしまうと、自分の新たな可能性に気づけない恐れもあります。
未経験・未就業のまま年齢を重ねてしまうと、今後の就職活動にも大きな影響を与えてしまいますので、“自分がやりたい仕事”と“自分が就ける仕事”のバランスを考えながら仕事選びを行いましょう。
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