司法試験に失敗してしまったり、受験を断念したりした人の中には、
「どこにも就職できないのでは」
「ニートになってしまうのでは」
と恐れている人もいるのではないでしょうか。
この記事でわかること
- ロー卒生に人気の就職先
- ロー卒生の就活のポイント
法科大学院を卒業後の進路は、弁護士だけとは限りません!
この記事を読んで、自分の可能性を発見してくださいね。
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法科大学院卒業生はここが有利!
法科大学院卒業生には有利な点がたくさんあります。
たとえば、修了後「法務博士」の学位をもっていること。
学位はなかなか得られるものではなく、社会に出ると希少価値といえるでしょう。
また、大学の法学部出身なら2年、法学部以外なら3年にわたって、法律実務家を育成するための勉強をしてきたこと自体も評価されます。
加えて、法律の知識も大きなアピールポイント。
たとえ司法試験を断念したとしても、法律の条文や裁判所の判例を知っていることは法務関連の就職に有利なのです。
それだけではありません。
法務関連に限らず、未知の問題にも対応できる論理的思考力自体も大きな強みとなります。
ロー卒生に人気の就職先は?
法科大学院卒業生(ロー卒生)の就職先としては、どのような職種・業種が人気なのでしょうか。
代表的なものとして、以下が挙げられます。
- 法務職
- 司法書士
- 法律事務所の弁護士秘書
法務職としては、法律の勉強を活かせる「企業の法務部」がおすすめです。
弁護士とは異なる道に進むのは、司法試験に3回落ち受験資格を失ってしまった方だけではないからです。
※追記 改正司法試験法が成立したことにより受験回数の制限が緩和され、2015年の司法試験から、5年間で3回までだった受験回数が5回まで受けられるようになりました。 |
法科大学院在学中に「司法試験は受けない」と決断し、就職活動をする方もいます。
そのような方たちが就職活動をする際にまず考える仕事は、「法務職」です。
法科大学院修了生専門の某人材紹介会社ではまず、「法務職はあきらめたほうがいい」と言うそうです。
以前、司法書士の記事でも書かせていただきましたが、一般的に企業が法務の中途採用求人を出す場合、法務部での法務経験5年以上などを条件に出すなど、ハードルが高いのが現状です。
未経験から法務職を採用する会社はゼロではありませんが、年にいくつかしか出ない法務求人にかけるのは、資格を目指し年齢を重ねた法科大学院卒の場合、リスクが高いといえます。
もちろん、未経験からの法務職内定は不可能ではありません。
法務人材を専任で採用するということはそれなりの規模の企業。
応募先としては非常に魅力的ですよね。
UZUZからも、未経験から挑戦できる法務職で見事内定を勝ち取った方がいらっしゃいます。
しかしこの方は法科大学院出身者ではなく、一年半不動産営業として実績を出していた方です。
つまり未経験法務職の枠は、法科大学院生やその他法律系の資格勉強をしていた方たちだけがライバルではないのです。
このことからも、法務職が非常に狭き門であることがお分かりいただけると思います。
そのほか普通の就職以外で、司法試験の受験を断念した人が転身先として考えるのは、試験科目が一部重なっている「司法書士試験」です。
司法書士試験はここ数年でずいぶん難化しています。
実際に司法書士の質を上げているのは司法試験三振者ではなく、経済的事情等により最初から司法試験を回避し、本気で司法書士試験に挑んだ人たちであると言われています。
司法書士試験の内容は司法試験と重複する部分があります。
とはいえ司法試験とは勉強のやり方が異なるので、司法試験から司法書士試験へと切り替えるのもそう簡単ではないようです。
上記以外の就職先として、法律事務所の弁護士秘書という道もあります。
仕事内容としては担当弁護士の業務が中心。
弁護士がスムーズに仕事ができるよう、以下のようなサポートをします。
- 出張の手配
- 会議への同席
- メール・電話や来客への応対
- 裁判所等へ提出する書類や資料の作成
- 会議やアポイントなどのスケジュール管理
一般的な秘書と同じような仕事内容が多いですが、法律の知識をもっているとスムーズに進む業務も多く、ロー卒生であることは強みになります。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
ロー卒生就職のポイントはキャリアプランと年齢
就職活動においては、ロー卒生にはロー卒生としての戦い方があります。
ポイントとなるのは「キャリアプラン」と「年齢」です。
まず、「明確なキャリアプランをもつこと」が何より大切です。
「司法試験に落ちてしまったから、次の一手として仕方なく一般企業に就職する」という気持ちが反映されたキャリアプランでは、とても就職は叶いません。
「司法試験合格は叶わなかったけれど、これからは法務畑でキャリアを積み、企業に貢献できる人材になりたい」という思いでキャリアプランを構築しましょう。
また年齢も大事です。
遅くとも30歳までには就職を決めるつもりで臨みましょう。
前述したように、法務職は実務未経験でも採用される可能性があります。
ただしこれは、将来性に期待してのこと。
つまり多くの企業がターゲットにしているのは「20代後半程度まで」なのです。
30歳を超えると、とたんに未経験での就職が厳しくなってきます。
ロー卒生の就活、職務経歴書の書き方と面接のコツを伝授!
ロー卒生に人気の就職先がお分かりいただけたでしょうか。
法科大学院卒業生のための職務経歴書の書き方
ロー卒生の職務経歴書は、選考で不利にならないよう気をつけて書かなければなりません。
特に大事なのが志望動機です。
面接でも聞かれる可能性が非常に高い「司法試験をあきらめた理由」に関わる部分なので、丁寧に書きましょう。
ポイントは、前向きな志望動機を記載すること。
「法科大学院で経営の勉強をした際、企業法務に興味がわいた」などがおすすめです。
次に自己PR。
採用側が求める人物像をイメージして書くようにしましょう。
「企業法務の勉強をしてきたので、即戦力として働ける」
「法務だけでなく経営戦略にも関心があり、勉強してきた」
「法律の勉強で培った論理的思考力がある」
以上のような内容が書けると、説得力が増します。
またあなたの“人となり”を知ってもらうことも大事です。
趣味・特技欄に記載することは、法務と関係なくてもちろんOK。
読書やディベート、映画鑑賞などの中から、面接できちんと語れるものを選んで書きましょう。
法科大学院卒業生の採用面接必勝法
資格を目指したものの断念し、就職活動にチャレンジするロー卒生。
「アピールできるものが何もない!」と思われるかもしれませんがそうではありません。
- 地頭が良い
- 勉強で身に着けた継続力
などを評価してくれる会社は実際にあります。
ただし、アピールの仕方には注意が必要です。
法科大学院在学中、一度目の司法試験に不合格後に就職活動を始め、見事事務職で内定をいただいたKさんという方がいらっしゃいました。
資格試験を目指し、ストレートで法科大学院を卒業しても24歳、25歳。
卒業後5年以内で3度の試験(当時)を受けきるときには27歳、28歳、29歳……。
年齢を重ねているにもかかわらず、就業経験がないことをKさんも懸念しておりました。
時間は元には戻りません。
悔いの残らないよう、目標に向かって勉強することは大事ですが、リスクを伴うことも忘れてはいけません。
面接では、「司法試験はもう受けないのか?」と必ず質問されます。
時間を費やしてきた目標を諦めることは辛い決断ですし、話しづらいかもしれません。
しかし、それは自分の覚悟を示すことができるチャンスでもあります。
特に入社後のキャリアプランは、未来志向の表現で伝えましょう。
就業経験がなく、周囲から後れを取っている分、「他の人より頑張って追いついて行きたい!」というやる気があることを伝えることができます。
アピールできることはたくさんあるはずです。
例えば、先ほど挙げた、
- 地頭が良い
- 勉強で身に着けた継続力
はもちろんですが、他にも、
- 論理的思考ができる
- 難しい壁に挑戦する
- ガッツがある
などが挙げられます。
弁護士という仕事柄、数多くの事例をみながら勉強をされていただけあって、ものの理由を考える癖ができており、事象に当てはめて論理的に話をすることができるのは面接で大いに役立ちます。
たとえ司法試験不合格であっても取った点数が平均点以上であれば、法的素養をアピールできるのです。
また、人の気持ちがわかる方が多いといわれることもあります。
そして、試験勉強をあきらめずにやり続けたガッツは、「たとえ就業経験がなくても今後仕事をするなかで厳しい環境でも働くことができる」とアピールできるでしょう。
ロー卒生が一般企業の就活で成功するためのポイント3つ
ロー卒生の就活 成功のためのポイント
- コツコツ勉強できる強みを活かす
- 鼻高々な態度はNG
- 就職エージェントを活用する
詳しく解説します。
ポイント①コツコツ勉強できる強みを活かす
法科大学院を卒業できたということは、根気強く勉強ができるということにほかなりません。
司法試験以外にも、おすすめの資格はたくさんあります。
法務関連では、以下のような資格でロー卒生としての強みを活かすことができます。
- 法学検定
- 中小企業診断士
- 個人情報保護士
- 社会保険労務士
- 宅地建物取引士
- ビジネス実務法務検定
- 知的財産管理技能検定
- マイナンバー実務検定
- ビジネスコンプライアンス検定
法律事務所の事務職員を目指す場合は、以下の資格があると有利です。
- 簿記検定
- 秘書技能検定試験
- ビジネス実務法務検定
加えてMOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)を取っておくと、PCスキルもアピールできますよ。
もちろん、全ての資格を取得する必要はありません。
就職エージェント・キャリアアドバイザーと相談しながら、就職したい企業や法律事務所の特徴を調べたうえで、必要な資格を選ぶと良いでしょう。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
司法試験の勉強を続ける場合は
読者の中には、「就職活動をするけれど、実は司法試験もあきらめきれない」という人もいることでしょう。
司法試験の勉強を続けながら就職活動をしたい場合はどうすればいいのでしょうか。
まず大切なのは、「司法試験に落ちた場合に備えて就職活動をしている」とはおくびにも出さないことです。
面接では受験勉強のことからはいったん離れ、仕事への情熱と自分の強みを伝えるようにしましょう。
予備試験に合格している場合は、いわゆる「青田買い」といった形で法律事務所などからオファーがある場合もあります。
そのようなチャンスも逃さないようにしたいですね。
ポイント②鼻高々な態度はNG
ロー卒生が一般企業を受けるにあたって注意しなければならないのは「態度」です。
もちろん、司法試験への挑戦で得られたことはアピールしてOK。
しかし、司法試験の勉強をしてきたことを必要以上に誇ったり、自慢したりする態度は絶対に避けましょう。
「自分の目指していた資格が一番最高!」
「試験のために費やしてきた時間を評価してほしい」
「努力を認めてほしい」
そんな気持ちが生じるのは当然のことです。
しかし、だからといって資格試験の勉強をしていたことが偉いわけではありません。
カウンセリングの際、キャリアアドバイザーから見て「他の職業を下にみているような」雰囲気の方も中にはいるようです。
「そんなことは絶対にない」と思うかもしれませんが、カウンセリングでそのような雰囲気が伝わるということは、面接官にも同様に伝わるということです。
そして厳しい言い方ですが、そのような色を出すと選考は通りません。
弁護士を目指していた方のアピールポイントとして、「自信を持っていること」も挙げられます。
それ自体はとても良いこと。
しかし、自信を持っていることと高慢な態度は違います。
ポイント③就職エージェントを活用する
これまで一般企業への就職を考えてこなかった人にとって、就活はハードルが高いもの。
たとえば、あなたはこれまで以下のような経験を積んできたでしょうか?
- 自己分析
- 業界研究
- 就活関連の書類準備
- 面接対策
このように、就職活動のタスクは多岐にわたります。
これまで法務関連の勉強に注力してきた人が1人で取り組むのは、無理があるかもしれません。
そこで、就職エージェントへの登録を考えてみてはどうでしょうか。
特におすすめなのは、UZUZが運営するエージェント「ウズキャリ」です。
ウズキャリの強みは「オーダーメイド型」の就活サポート。
キャリアアドバイザーは、就活での挫折や短期離職を経験した者たちです。
だからこそ、司法試験をあきらめたり弁護士の道を断念したりした人に対しても、真摯に同じ目線で就業サポートを行うことができるのです。
「これまで司法試験に全力を尽くしてきたので、就活の知識がない」
「自分の強みや働きたい職種をゼロベースで考えたい」
そんな人こそ、信頼できるキャリアアドバイザーに伴走してもらうのが、就活成功への近道だといえます。
まとめ
法科大学院卒業生(ロー卒生)には、他にはない強みがあります。
しかし一般企業の法務部に就職することは、簡単なことではありません。
それ以外にも、司法書士や法律事務所の弁護士秘書などの道があるので、視野を広げて検討してみると良いでしょう。
ロー卒生が就職活動するには、自分の強みを活かしつつ高慢に見えない面接テクニックが必要です。
また職務履歴書の書き方にもコツがあります。
これらの「戦い方」は自分一人では難しいので、就職エージェントの利用がおすすめです。
キャリアアドバイザーに伴走してもらいながら、納得できる就職先と出会いませんか?
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