「特定派遣(常用型派遣)」という雇用形態があるのをご存じでしょうか?一般的な登録型派遣よりも給与など待遇面での安定性が高く、キャリアアップも期待できます。中でもIT業界における特定派遣の需要は高く、エンジニア職はほとんどの場合が特定派遣です。
今回は特定派遣の特徴やメリット、登録型派遣との違いや派遣法の改定による影響についてご紹介します。
IT業界でよく見られる『特定派遣』ってなに?
派遣会社に正社員や契約社員として雇用され、クライアント企業に派遣されるのが「特定派遣」です。1年以上の雇用が見込まれるもしくは雇用期間を定めない社員なので、「常用型派遣」という表現をすることもあります。社員なので、安定した給与をもらえるのが大きな特徴です。
では、一般的な派遣・正社員と特定派遣の具体的な違いについて、以下で見ていきましょう。
特定派遣の特徴
特定派遣最大の特徴は、雇用元とは違う企業に「出向」することです。つまり社員契約をした企業と、勤務先の企業が異なるため、正社員でありながら「派遣」という言葉が使われています。
また出向先の企業とは案件ごとに契約する場合がほとんどで、数年ごとに勤務先が変更になる可能性があります。そのため、多くのスキルや経験を積むことができるのが特徴です。
一般的な派遣との違い
派遣元との契約形態や給与など、同じ「派遣」という言葉を使っていながら条件面でさまざまな違いが挙げられます。
特定派遣(常用型派遣) | 一般的な派遣(登録型派遣) | |
雇用形態 | 派遣元と正社員もしくは契約社員として常用雇用 | 派遣社員として一時的に雇用 |
勤務地 | 選べないことがある | 選べる |
給与 | 月給制(企業によって異なる) | 時給 |
賞与 | あり(企業によって異なるので要確認) | なし |
昇給 | あり | なし |
給与の安定を求める人と、勤務地を優先している人では仕事に求めることが違います。それぞれの働き方に魅力があるので、自分の目的やライフスタイルに合わせた働き方を選んでくださいね。
法改定でIT業界の特定派遣が変わる?
2015年に派遣法が改定されたことで、派遣雇用されている人材への影響が懸念されています。その問題の論点は「雇用期間」についてです。法改定でなにが変わったのか、なぜ雇用期間が問題になるのか、確認していきましょう。
法律のどこが変わったの?
これまで、開発などに携わるIT業界に出向している派遣社員の雇用制限はありませんでしたが、法改定を受けて雇用期間が3年間になりました。改定前は「政令26業務」という、ソフトウエア開発などは特例を認められていたのですが、その特例がなくなってしまうことが決まりました。
また、第40条の5では新たに「出向先で3年以上勤務してはいけない」という項目が追加されました。これは、3年経過し同じ出向先の別の部署に異動すれば問題ありませんが、有期雇用契約のまま3年以上同じ部署で働いていると問題になるというものです。
ただし、派遣元に直接雇用されている無期雇用派遣のエンジニアは、第40条の対象外なので期間制限を設ける必要はありません。つまり「常用型派遣」であれば、期間を気にすることなく同じ部署で派遣として働き続けることが可能です。
ちなみに「特定派遣」という呼び名は今はなくなり、「常用型派遣」が近しいものになりました。
何が問題なの?
部署変更をして、そのまま雇用されれば問題ないですが、場合によっては3年経過した時点で契約破棄になる可能性があることから、現在IT業界を中心にクリエイティブ業界などでも雇用問題について大きな話題となっています。
なぜ話題になるのかというと、これまでソフトウエア開発や機器設定、デザインなどの業務は「専門26業務」として雇用問題に関して特例が認められていました。しかし今回の法改定を受けて例外はなくなり、3年間のルールが適応されることになったことで、業界そのものの雇用形態に影響が出るのでは?と懸念されているのです。
しかし、派遣元に無期雇用されていれば派遣期間の制限はありませんし、特定派遣として派遣元に直接雇用されていれば法改定の影響は受けません。「安定したキャリアを積みたい」と考えている方がいるなら、登録型派遣よりも、特定派遣(常用型派遣)を検討することをおすすめします。
参考:
厚生労働量「労働者派遣法新旧対照表」
厚生労働省「派遣労働者・労働者の皆様」
厚生労働省「専門26業務」
はたらこねっと「vol.2「改正前後の期間制限」2015年派遣法改正10のポイント」
IT業界に特定派遣が多い理由は?
IT業界の特定派遣の多くはエンジニアです。なぜかというと、システム開発は規模が多くなればなるほど作業量が増えるので、人員が必要になるからです。そのため大手企業では、プロジェクトを動かす際他社のエンジニアを派遣してもらい、案件単位で人を借り入れています。
では、なぜIT業界では特定派遣のような働き方が主流になっているのでしょうか?以下でその理由について、詳しくご説明します。
確実に人材の確保をしたいから
特定派遣を利用すれば、簡単に人員の確保ができます。多くの中小企業はエンジニアを派遣することを収益源としており、派遣業務が主なサービスであることも少なくありません。
受注元は期限内に納品できるよう多くのエンジニアを雇用することができ、派遣元は受託開発などと違い、少ないコストでの収益が見込めます。それぞれのメリットが大きいことから、IT業界では特定派遣が多く採用されています。
ノウハウが少なくてもサービスの運用ができるから
「自社システムを開発したものの、運用知識が豊富なエンジニアが少ない」という場合も、特定派遣が重宝されます。サービス知識やシステム運用のノウハウがあるエンジニアを雇用すれば、わざわざ自社でエンジニアを採用せずとも、教育研修などを行わずにサービスを運用できます。
自社の採用コストを抑えたいから
エンジニアをイチから育てるには時間とコストがかかります。しかし特定派遣を使えば、すでに知識やスキルが備わったエンジニアを採用することが可能です。
ちなみに、エンジニアに対する教育・研修は、派遣元企業が時間をかけて行う場合が多いです。。
IT業界の特定派遣でスキルアップは期待できる?
企業によって異なりますが、多くの派遣元は出向先でトラブルにならないよう、数週間〜数3カ月前後の長期研修を設けているので、エンジニアとしての最低限のスキルを身に付けることが可能です。
特定派遣に求められるITスキル
特定派遣に求められるスキルは、基本的には派遣元に入社してから研修で学ぶことができます。
しかし「早く現場に出たい」「同期と差をつけたい」と考えるのであれば、応用情報技術者試験の資格について勉強してみましょう。系統に縛られず基本的なITスキルを習得できます。また、この内容は国家資格獲得にもつながるので、今後のキャリア構築や面接でのアピールポイントとしても活用してくださいね。
また専門性の高い技術よりも重要視されているスキルがあります。それは「コミュニケーション能力」です。勤務地が変更になることが予測される特定派遣では、新しい環境ごとに人間関係を築く必要があるので、特に重要なスキルと言えます。
スキルに自信がない場合
「自分に自信がない」「どうやってすすめていけばいいかわからない」といった場合、プロのカウンセラーに相談してみましょう。第二新卒に強い転職サポートを利用すれば、失敗しないためのノウハウや面接対策などをサポートしてもらえます。
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最後に
さまざまな企業で働くチャンスがある特定派遣は、IT業界に就職したいと考えている人にとって必ずといっていいほど選択肢にあがってくるものです。そのため「高いスキルを求められそう」「条件交渉は難しいのかな?」と思いがちですが、一般的な就活とやることは同じです。就活サポートなどを活用し、希望に沿った勤務地や待遇で内定獲得の可能性を高めましょう。
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