出版業界に転職したいなら必読!電子書籍ビジネスの将来性

電子書籍市場の最新の推移を知ろう

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スマホでマンガをちょこっと立ち読み…通勤電車の中やちょっとした待ち時間に、そんな過ごし方をすることもありますよね。出版業界に転職を考えている人にも、電子書籍ビジネスに興味がある人も多いのではないでしょうか。

でも、出版業界に転職の希望はあるけれど、将来的に大丈夫なのだろうか…?これからどうなっていくんだろう…?そうした不安を抱えていませんか?

そんな方は、カギとなる電子書籍市場の推移と業界の動向をここでチェックしてみましょう。出版業界が長期低迷を続ける中で、電子書籍ビジネスは大きく注目されています。今回は、電子書籍ビジネスの構図と今後の出版業界の課題、必要な人材についても紹介していきます。業界を知れば自分の転職の適性や可能性を検討できるようになります。

2014年度の電子出版市場は1200億円超え

2015年の7月末にインプレス総合研究所が発表したところによると、2014年度の電子出版市場は1,411億円となりました。これは電子雑誌の145億円を加えたデータで、電子書籍のみとしても前年比35%増となる1,266億円となりました。

グラフ

グラフからもわかる通り、順調に推移しています。2010年から2011年のみ前年比がマイナスとなっていますが、それは従来型携帯電話からスマートフォンへの切替時だったため低迷したという背景があるようです。

電子雑誌に至ってはなんと前年比が88%増。つまり、雑誌をスマートフォンやタブレットなどで読む人が増えたということです。そういえば、最近の美容室では紙の雑誌がいっさいなく、席に置いてあるタブレットでお店の購入している雑誌を読む、という光景も増えているようです。便利な世の中ですね。

市場拡大の背景ー新たなプラットフォームへ

電子書籍の市場が拡大している主な理由としては、以下のものが挙げられます。

  • スマートフォン、タブレット等の普及
  • 出版各社の電子書籍ラインナップの拡充努力
  • CM等の広告宣伝による電子書籍ユーザーの増加
  • 出版各社、電子書店等のキャンペーンなどによるユーザーあたりの利用量の増加

まず、根底にあるのはスマートフォンやタブレット等の普及です。グラフを見ても、2013年の時点で電子書籍の利用の多くがスマートフォンやタブレットによるものであることがわかります。

それに加え、出版社や電子書籍ストアが努力している結果ということですね。実例としては、KADOKAWAの「Comic Walker」が連載中の作品やオリジナル作品など約200点を無料公開したことなども話題になりました。従来は旧作のラインナップが中心の電子書籍市場でしたから、新作を無料で公開、というのは思い切ったキャンペーンだったと言えます。また、広告宣伝やキャンペーンを機に電子書籍を利用する人が増えたり、ユーザーの利用量が増えるような努力が身を結んでいるといえそうです。

電子書籍は黎明期から成長期へと進歩しています。

電子書籍ビジネスのしくみを知ろう

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電子書籍コンテンツの流れ

現在の電子書籍市場の動向がわかったところで、そもそも電子書籍ってどんなしくみで読者に届くんだろう?そんな電子書籍のコンテンツが読者に配信されるまでのしくみを、ざっくりと紹介します。

電子書籍のフローはだいたい以下の図のようになります。

コンテンツの流れ.001

電子書籍のフローとしては、著者が書いた(あるいは描いた)ものを出版社が編集し、電子取次へ渡され、電子書籍ストアから配信される、というのが一連の流れです。

もちろん、取次を介さない電子書籍ストアもあるので、著者→出版社→電子書籍ストア→読者、という流れもあります。また、大手やコミック系の出版社はたいてい電子書店を直営しているので、著者→出版社→読者という構図もありますね。

管理・流通に欠かせない電子取次業者とは?

フローの中にある電子取次という過程には、なじみがない人も多いでしょう。どんな役割をしているのか?ちょっとよくわからないけど、本当に必要なの?と思うかもしれません。

でも実はこの取次業者は、電子書籍においてもとても大事な役割を果たしています。取次業者の仕事は、一言でいえばコンテンツの管理・流通です。といっても、いったいどんなことか具体的にイメージできませんよね。電子書籍における取次業者の役割は大きく分けて以下の3つです。

  • 電子書籍コンテンツの作成・管理・変換補助
  • コンテンツデータを電子書籍ストアへ提供
  • 販売データ集計等、決済代行

つまり、電子書籍化にあたって生じる様々な煩雑な作業を請け負ってくれる業者ということになります。

電子書籍化の作業は、データ化するだけというイメージがありますが、実はかなり煩雑なプロセスがあります。できるだけ多くの電子書籍ストアに配信したいのが出版社の本音ですが、乱立する電子書籍ストアの現状では、ストアごとにフォーマットが異なったりすることも珍しくありません。それぞれのストアのフォーマットに合わせて納品するだけでも大変な手間です。

また、電子化できわどくなってくるのが権利関係です。著作権等の侵害などの問題が生じないように、管理を担当していることもあります。さらに、紙の本では発行部数を管理して印税を計算すればいいところを、電子書籍ではストアごと・タイトルごとの販売データを集計し、著者への支払額を算出して支払いをしなければなりません。

とてもじゃないですが、出版社はそこまで手が回りません。出版社はそうした煩雑な作業よりも新しい企画や編集に時間と労力を割きたいところ。それを請け負ってくれるのが、取次業者ということです。

取次業者がそうした一括管理をしてくれることで、さらに運用コストダウンにもつながります。そういう意味では、取次業者は市場拡大の縁の下の力持ちとも言えそうです。

乱立する電子書籍ストアの構図

さて、いまや私たちは様々なところで電子書籍に触れることができるようになりました。出版社直営の電子書籍ストアから携帯電話キャリア系の電子書籍ストアまで、実に多くのストアが電子書籍を配信しています。それぞれの電子書籍ストアとその運営元をまとめてみました。

海外プラットフォーム

  • Amazon Kindleストア(Amazon)
  • iBookstore (Apple)
  • Google Play ブックス(Google) など

印刷・書店系

  • BOOK Live!(凸版印刷)
  • honto(大日本印刷)
  • Kinoppy(紀伊国屋書店)など

流通系

  • 楽天kobo電子書籍ストア(楽天)
  • Yahoo!ブックストア(Yahoo!)
  • セブンネットショッピング(セブン&アイHD) など

メディア・出版系

  • BOOK☆WALKER(KADOKAWA)
  • ニコニコ静画(ニワンゴ) など

出版取次系

  • DIGITAL e-hon(トーハン)
  • boocross(日販)など

電機メーカー系

  • Reader Store(ソニー)
  • GALAPAGOS STORE(シャープ)
  • BOOK Place(東芝)など

電子書店専業

  • eBook Japan(イーブックイニシアティブジャパン)
  • 電子書店パピレス(パピレス)など

その他異業種

  • LINE マンガ(ライン)
  • MAGA STORE(電通)など

以上のように、それぞれ出版・流通関係をはじめ、様々な業種からも電子書籍ストアが運営されています。ちなみに現在のシェアは以下の通りです。意外にも楽天とアマゾンがほぼ拮抗しているんですね。海外プラットフォームが特に強いとか、書店運営のものが強いなど、運営元の業種はほぼシェアには関係がないようです。現在のところは様々な業種がそれぞれのやり方で多彩に展開しているため、ユーザーが判断しにくい、というのが現状のようです。

表

電子書籍市場の成長と出版業界の今後の課題を探る

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電子書籍市場のしくみと現状をざっと把握したところで、気になる今後について見て行きましょう。

電子書籍市場成長の見込みと影響

2019年には2900億円へ

インプレス総合研究所の発表によると、2019年度には電子書籍市場は2900億円程度にもなると予測されています。かなりの増加率ですよね。理由としては、スマートフォン・タブレット等のデバイスのさらなる普及と向上、電子書籍の認知度の上昇と利便性の向上などが挙げられています。また、電子書籍の登場によってさらに敷居の低くなったセルフパブリッシング(出版社を通さない私費による出版)なども拡大しそうです。

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※インプレス総合研究所より引用

電子書籍市場拡大の影響

では、わずか4年後には2倍以上に増えている可能性のあるという電子書籍市場ですが、その拡大によってどんな影響が出るのでしょうか。

まず、当然予想されるのが紙媒体のさらなる売上の減少、「読む」ものは「紙」ではなく「画面」が当たり前という人が増えるかもしれません。そうなると、それに付随してインターネット広告のさらなる増加も予想されます。今でさえインターネット広告は氾濫状態ですが、今後さらなる形態の多様化なども進むかもしれませんね。

それから、コミックや読み物などを電子書籍で利用する人が増えるということは、電子決済が増えて行くことにもなります。ICカードやスマートフォンの普及で、現在でもかなり日常生活の中で電子決済をするシーンも増えてきました。今後はさらにそれが進んでいく世の中になりそうです。2020年には、電子決済業界の市場は82兆円を超えて行くという見方もあるようです。

このように、電子書籍だけでなく現代は変化のスピードがどんどん早くなっていますね。近い将来には、もっと「現物」を扱わない世の中になっているのかもしれません。

電子書籍流通の課題

とはいえ、出版業界の生き残り、というか発展のためには、やはり電子書籍の流通は活発化してほしいところです。そのさらなる発展のための課題となってくることを見てみましょう。

大手中心、中堅以降は苦戦

電子書籍の流通のためには、出版社のコンテンツ拡充の努力、つまり「電子書籍に流し込む作品を増やす」という努力がまず重要になります。電子書籍化の作業が実は煩雑だということは説明しました。そのために、実は電子書籍に力を入れているのは大手のみ、というのが現状ということです。もちろん、中堅どころも力を入れたいのは山々です。でも実際のところ、人手と資金不足でそれができない、というのが現実問題だそうです。

「サイマル(同時)配信」の難しさ

出版各社の本音としては、電子書籍市場拡大の流れを汲んで、業界全体の活発化につなげたいところです。その流れのキーワードが、「サイマル配信」です。

「サイマル配信」というのは、紙の本と電子書籍の発売(配信)を同時に行う、というものです。これまでは、紙の本が出版されてから、電子書籍が配信されるというのが通常の流れでした。ですが、相乗効果で双方の売上を上げて行こう、というのがサイマル配信の狙いです。

サイマル配信のメリットは、紙の出版と同時に広告やプロモーション展開ができるということです。一度に行うことで広告費の削減につながり、話題も大きくとれます。露出が増えることによって、電子書籍ストアでの売上アップも期待できます。

じゃあ今後は全部サイマル配信にしていけばいいじゃないかというと、まだ課題があります。紙の出版と電子書籍化の作業には工程の違いがあります。そのため、タイミングを合わせるのが難しいということです。また、電子書籍ストアが乱立している現在、配信日をぴったり合わせるという調整も、なかなか難しいようです。やはり、電子書籍化の作業工程を少しでも短縮する努力が不可欠となってきそうですね。

デバイスとサービスの整備

出版社のコンテンツ拡充とともに、必要とされるのがデバイスとサービスの整備です。スマートフォンやタブレットはどんどん進化していますから、電子書籍はそれに柔軟に対応する必要が出てきます。また、電子書籍ストアが乱立し、シェアもほとんど分け合っている現在、「ユーザーがどれだけ使いやすいか」を追求していくことが、今後の発展のカギとも言えそうです。

転換期にある出版業界の課題

紙も電子も売るために

電子書籍が登場した当初、出版業界でも「紙の本が売れなくなる」という批判が大きくありました。「本をキカイで読む」ことの抵抗が大きかったとも言えます。しかし、いまは「紙vs電子」の議論は過去のものになりました。現在は両者共存、双方をセットで売って行くという考えに落ち着いているようです。

現に、電子書籍の発展は紙の本の売り上げを衰退させるということでは必ずしもないようです。現実の本屋さんにはもう置けないようは古い本、あまり注目されていない本が、電子書籍化によって再度注目されるケースがあります。また、旧作のタイトルが電子書籍ユーザーの気付きによって価値を見いだされ、リバイバルブームを引き起こすこともあります。そのような相乗効果を今後もうまく生み出し、業界全体の活性化につなげていくのがカギとなるようです。

可処分時間の獲得

スマートフォン・タブレット等デバイスの普及は、電子書籍の普及以外にも多くのものをもたらしました。スマホゲームなど娯楽系のアプリケーション、SNSのさらなる普及などです。そうした「手軽な娯楽」が氾濫する現在、出版業界で課題とされているのが「可処分時間の獲得」だそうです。

可処分時間、つまり通勤中やちょっとした待ち時間など、人々が「暇つぶし」に充てる時間。それをいかに「読む」時間に引き寄せられるか。その可処分時間をSNSやスマホのゲームに費やす人はますます増えています。紙にしろ電子にしろ、「読む」ことに時間を使ってもらうにはどうしたらいいか。それが現代の出版業界の大きな課題といえそうです。

まとめ|これからの出版界を担う人材とは

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ここまで現在の出版業界の現状を見てきました。出版業界の活性化を取り戻して行くキーワードとして、コンテンツ・デバイス・サービスの更なる拡充と向上、紙と電子の相乗効果、可処分時間の獲得などについて触れました。

これまで出版業界の人間に必要なのは知識や教養や企画力、価値を見極める力、などが主に重要なものと見なされてきました。もちろんそれは現在でも変わりません。しかし、転換期にある出版業界を今後も支えて行くには、それに加えて新たなタイプの人材も必要と言われています。

電子書籍化の根本的なスピードアップのために、技術者や専門家の導入も検討されています。しかし、出版業界の人間も基本的にシステム・デバイス等に詳しくある必要が、今後はさらに求められています。また、「可処分時間獲得」のために何ができるかを、大きな視野で考えて行ける人材が、今後の出版界を支えて行くと言えそうです。本が好きなだけではなく、現代社会全体の流れを視野に入れ、時代に対応していける人材を確保することも、出版業界の大きな課題となりそうです。

その意味で、異業種からの優秀な若い人の活躍の場としては、難しいが、それゆえに大変やりがいがある挑戦ともいえそうです。

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