- 就職するならとにかく大手企業
- 絶対に給与が高くないと嫌だ
- 若手にもチャンスをくれる会社が良い
など、就職先選びのポイントは人それぞれですが、「同じ会社で長く安定して働きたい」と考える人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、離職率が低い業界をランキング形式でご紹介するとともに、離職率が低いその理由や、離職率が低い業界や企業を目指す際に知っておきたいことなどをご紹介したいと思います。
就職先選びをすすめる上での判断材料として、是非参考にしてみてくださいね!
ちなみに以下の動画でも“離職率が低い業界”についてご紹介しています。
ぜひ動画も合わせてチェックしてくださいね!
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離職率が低い業界ランキングトップ5
それでは早速ですが、厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成 31 年3月卒業者)を公表します」という資料をもとに、離職率が低い業界をご紹介していきましょう!
なお、ここでいう離職率とは、新卒入社の人が3年以内に離職した割合のことを指します。
- 1位:電気・ガス・熱供給・水道業(10.6%)
- 2位:製造業(18.5%)
- 3位:鉱業・採石業・砂利採取業(20.1%)
- 4位:金融業・保険業(25.1%)
- 5位:運輸業・郵便業(25.5%)
1位は10.6%というダントツで離職率の低い電気・ガス・熱供給・水道業で、具体的には「東京電力」や「東京ガス」といった私たちの生活を支えるインフラ整備を主に扱う業界です。
2位の製造業(18.5%)は非常に幅が広くなりますが、製造業界の中でも特に自動車や電化製品を製造している大企業は給料が高く、そういった理由も離職率の低さに反映されていると考えられます。
3位の鉱業、採石業、砂利採取業(20.1%)は鉱物などの地下資源を主に扱う業界で、代表的な企業としては「国際石油開発帝石」「日本海洋掘削」「エナジーグループ」などが挙げられます。
企業名だけを聞くとあまり馴染みがないかもしれませんが、こちらも石油や鉄など、私たちの生活を支える上で欠かせない資源を扱う業界です。
4位の金融・保険業(25.1%)は銀行や保険会社ですが、金融系の企業は高収入なことで知られるため、新卒の就活時にも人気が集まりやすい傾向があります。
5位の運輸業、郵便業(25.5%)の最も大きなものとしては鉄道業が挙げられ、こちらも郵便とともに私たちの生活には欠かせない業界といえるでしょう。
離職率が低い業界・会社の理由とは
そもそも離職率が低い会社には、何か理由があるのでしょうか?
離職率が低い会社と一口に言っても、全ての会社に共通したひとつの理由があるわけではありません。
離職率が低い会社の多くは、次のようないくつかの特徴が重なり、離職率の低い会社を作り上げているといえます。
- BtoB業界である
- 人を育てる環境が整っている
- 休みがしっかり取れる
- 給料が高い
それぞれ、もう少し詳しく見ていきましょう。
BtoB業界である
BtoB業界とは“Business to Business”の略であり、「取引相手が企業」であることをしめしています。
反対に個人や一般消費者が顧客となる仕事は、「BtoC(Business to Consumer)」といいます。
BtoBの仕事は対象顧客がある程度決まっており、どんどん新規顧客を開拓しなければならないBtoCの仕事に比べて、営業活動にストレスを感じづらいことが考えられます。
また顧客のニーズもある程度決まっているため、必要な相手と必要なやりとりがしやすい点も、プレッシャーを減らせる要因でしょう。
人を育てる環境が整っている
離職率の低い業界は、会社規模が大きく、人を育てる環境も整っている傾向にあります。
育成担当の上司がいたり、研修のカリキュラムやマニュアルが整備されていることが多いので、ストレスを感じにくいと考えられます。
また、厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況(平成 31 年3月卒業者)を公表します」によると、結果は以下の通りでした。
平成31年3月、新規大卒就職者の事業所規模別就職後3年以内の離職率について見ていきましょう。
会社規模(従業員数) | 離職率 |
---|---|
5人未満 | 55.9% |
5〜29人 | 48.8% |
30〜99人 | 39.4% |
100〜499人 | 29.6% |
500〜999人 | 25.3% |
上記の結果からも、人を育てる環境整備がしやすい規模の大きい企業ほど、離職率が低いことが分かります。
休みがしっかり取れる
離職率の低い業界は、勤務時間がある程度決まっており、突発的な残業や休日出勤も発生しづらいことが特徴です。
一方、サービス業などの離職率が高い業界の企業は年中無休で営業しているところも多く、特に繁忙期は休みが取りづらいと考えられます。
給料が高い
安定して働き続けるためには、給料面も重要でしょう。
先ほど紹介した「離職率の低い業界ランキングTOP5」は、どの業界も平均年収が高くなっています。
平均年収が高い理由は、業績が安定しやすいからと考えられます。
景気に振り回されずに給料やボーナスが出る企業だと、年収が高くなるのも納得ではないでしょうか。
実際に国税庁が発表した「令和3年分 民間給与実態統計調査」においても、電気・ガス・熱供給・水道業の平均給与は7,65万円と全業種の中で最も高く、金融・保険業の平均給与も596万円とその次に高いものとなっています。
また、上記の業界は勤続年数に応じて大きな昇給が見込まれるため、長く勤めて役職に就くと一気に年収が上がることも特徴です。
企業規模は離職率に関係する?
「離職率が低い業界ランキングトップ5」でもご紹介した、厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況(平成 31 年3月卒業者)を公表します」では、事業規模と離職率の関係についても調査がされています。
この調査によると、平成28年3月新規大卒就職者の事業所規模別就職後3年以内の離職率は、次のような結果となっています。
会社規模(従業員数) | 離職率 |
---|---|
5人未満 | 55.9% |
5〜29人 | 48.8% |
30〜99人 | 39.4% |
100〜499人 | 29.6% |
500〜999人 | 25.3% |
この調査結果を見ると、一見事業規模に反比例して離職率が低下しているように見えます。
この理由として考えられるのは、事業規模が大きい、つまり大企業であるほど会社としての歴史が長く、その分教育体制が整っていたり収入が安定している企業が比較的多いという点です。
また、大企業と呼ばれる会社は就職の際にも人気が高く、入社してからも「せっかく大手に入社したのだから……!」と、転職を避けようとする心理的要因考えられます。
とはいえ、いわゆるブラック企業と呼ばれる企業の中には大企業も多く存在するため、必ずしも「大企業=離職率が低い」とは言い切れず、離職率について考える際に事業規模の大小はそれほど意識すべきではないといえるでしょう。
離職率が低い業界・仕事に就職・転職するのにもリスクがある?
離職率の低い業界や企業は、一見メリットだらけのように思えるかもしれません。
しかし、実は離職率の低い会社には、離職率が低いからこそ生まれるデメリット
もあります。
その代表格ともいえるのが次の2つです。
- 出世しづらい
- 転職しづらい
出世しづらい
まず「出世しづらい」についてですが、言わずもがな、離職する人が少ないが故に自分より上のポストが空きづらくなるという現象が起こります。
現在、少子高齢化の影響から定年年齢をこれまでの60歳から65歳に引き上げる企業も増えてきています。
仮に定年退職者が何年も出ないような状況が続いたり、何らかの事情採用活動が行われなくなった場合、いくら業績を上げても昇進どころか部下も付かない状況に陥ることも考えられるのです。
転職しづらい
次に「転職しづらい」という点ですが、これはまず、周囲に転職する人が少ないため「なんとなく転職なんて考えづらい」という心情的な問題があります。
また、離職する人が少ないと長期間同じ仕事を続ける可能性も高くなるため、例えば管理職の経験など、同年代と比較すると年齢相応のスキルが身についていないなどという事態も起こりかねません。
そうなると、アピールポイントが少ないため転職自体が難しくなる上、仮に転職できたとしても、転職後に自分のスキルの低さに苦しむ結果となるのです。
スキルがチープ化してしまうことも
人材に流動性がなく、長期間その業界でのみ働く、という人が増えていきます。
すると、「その業界、その企業でしか通じない働き方・スキル」のまま何十年も働くことになってしまうかもしれません。
外部からの人材流入も少ないため、他業界の人材と比較して自分のスキルが固定化されていることに気づきにくい特徴もあります。
いざその仕事がなくなったとき、転職しようと思っても“転職できるだけの汎用的スキル”を身につけられない可能性はデメリットの一つでしょう。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
プラベート重視か、キャリアアップを重視するかで業界は慎重に選ぼう
辞める人が少ないのは、そこで長く働きたいと思っている人が多いというのは正しい見方でしょう。
そのため出ていく人が少なく、出ていく人が少ないため人員の枠が空かないため、そもそも就職しにくいのも離職率が低い業界を目指すうえでのデメリットかもしれません。
「出世しにくい」「転職しにくい」という話をデメリットとしてお伝えしましたが、そもそも変化が少ない働き方で長く働いていたいと考える人の場合、仕事には「給与と安定」を求める傾向があります。
そういった方は、仕事での自己成長やキャリアアップによる承認に重きを置かず、プライベートの趣味などを充実させて人生を楽しむタイプです。
自分がどういったタイプなのかを見極めてから、タイプと合致している場合に離職率が低い業界を目指すようにしてみてはいかがでしょうか。
離職率が低い業界・企業に入るために
離職率が低い業界や企業は、居心地がよく長く働ける環境がある、というのはこれまで説明してきたとおりです。
多くの方は、そういった場所で働きたいと考えるのではないでしょうか。
ですが、前項でも確認したように、離職率の低い業界や企業には「離職率が低いからこそのデメリット」があることがわかりました。
そのため、離職率が低い業界や企業に入社をする際には、次のような「覚悟」が必要です。
- 異業種・異業界への転職が難しくなる可能性があること
- 出世できない可能性があること
- 人脈が広がらない可能性があること
- 社内での変化は望めない可能性があること
転職や出世が難しくなる可能性がある点については、前項でお伝えしたとおり。
それに加えて、離職率が低い会社では当然ながら人材の入れ替わりが少ないので、仕事を通じての交友関係が狭まりやすい傾向があります。
また業務についても自分のポジションの変化が乏しくなる可能性はもちろん、新しい方法を導入するチャンスや、問題提起がされるチャンスも少なくなりがちです。
したがって、
- 若くして重要なポジションにつきたいと考えている人
- 将来的に起業をするために企業でスキルを身に付けたい人
- さまざなタイプの人と交友関係を深めたい人
などは、離職率の低い業界や企業への就職を今一度よく考える必要があります。
一方で、変化を嫌う安定志向の人にとっては離職率が低い業界や企業は理想的な環境といえるでしょう。
監修者コメント
岡本啓毅HIROKI OKAMOTO
離職率の高さは、人材の流動性があるかも表している
離職率が低い業界や企業には、大きなメリットがあります。
ですが、離職率が高い企業も単純に必ずしも悪いとは言えません。
人の入れ替わりが早いということは、人材流動性が高くキャリアアップがしやすいとも言えます。
役職ポジションでも空きやすく、そのポジションが募集されているためです。
なかには短期間でスキルを吸収して、どんどん転職しながら所属する会社規模や職位を上げていくのが一般的、という業界もあります。
スムーズにキャリアアップしていきたい、ほかの人よりも早く出世したいという方は、間違いなく離職率が低い業界よりも高い業界のほうが向いているでしょう。
どちらかが良いという話ではなく、“どちらが自分に合っているか”という話です。
離職率が低い企業を見抜くチェックポイント
明確に業界の離職率を把握する方法としては、就活生にお馴染みの東洋経済新報社の「就活四季報」や就職情報サイトなどが挙げられますが、これらに掲載されていない企業も当然ありますし、3年後離職率のみ掲載されている場合もあります。
そのため、明確に離職率が把握できない場合については、離職率の低い企業の特徴として多く見られる、次のようなポイントをチェックしてみると良いでしょう。
- 採用活動に時間をかけている
- 求人が常に出ていない
- 従業員数が増えている
- 社員の年齢層に偏りがない
- 社員への研修制度や教育体制が整っている
- SNSなどに元社員から悪い評判が書かれていない
- 休日や深夜に稼働している様子がない
- 給料が普通~高め
- 福利厚生が充実している
- 多くの社員が産休制度や育休制度などを利用している
まとめ
離職率の低い業界や企業への就職は、
- 実力志向が高くスピーディーに昇進をしたい人
- 将来的な転職を視野に入れてキャリアップ考えている人
などにとっては、本当にその業界や企業で良いのか、今一度よく考える必要があります。
一方で、安定した環境で長く働きたいという人にとって、離職率が低い業界や企業は非常にメリットが多いといえます。
現状の職場に不満を感じていたり、転職を検討しているのであれば、少しでも早く転職に向けて動き出すことをおすすめします。
今回ご紹介した離職率の低い業界はもちろんですが、実は、それ以外の業界であっても離職率の低い企業は多く存在します。
そのため、データが公になっている会社だけを狙って応募していると、求人が少ない上に応募者が多く、なかなか内定がもらえないことも。
また、本当は離職率がとても低い会社なのに、情報を得られずにスルーしてしまっている……というケースも意外と多いのです。
そういった「知られざる優良企業」を知るためには、やはり企業の情報を多く持っている就職エージェントを頼るのがおすすめです。
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