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理系の新卒の就職では、大学を卒業した「学部卒」や大学院の修士課程を修了した「修士」よりも、博士課程を修了した「博士」は不利とされています。大学卒業後に標準で5年間という長い年月をかけて学び、研究に時間を費やした「博士」は、なぜ、就職が難しいのでしょうか。「博士」の就職の現状をデータ等から検証するとともに、博士号を取得した既卒者が就職を目指すための方法についてまとめてみました。

一般的に理系の就職は「学部卒」や「修士」が有利

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理系の就職では、博士は本当に不利なのか、文部科学省の公表している『平成27年度学校基本調査』のデータをもとにみていきます。

卒業者の進路状況をもとに、就職者の割合をみていくと、学部卒は72.6%、修士は76.2%、博士は67.8%と、進学者が1割ほどいる学部卒や修士よりも、博士の割合が低くなっています。さらに、就職者のうち正規の職員等でない者の割合は、学部卒は3.7%、修士は3.2%なのに対して、博士では15.2%にも及びます。博士号取得者で、正規雇用で就職した人は半数ほどしかいないのです。 博士は学部卒や修士と比較して、安定して働ける環境が整備されているとは言い難い状況が、数字からもみてとれます。

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(出典:文部科学省「平成27年度学校基本調査」)

(出典:文部科学省「平成27年度学校基本調査」)

博士の就職が不利な要因の一つに、学科推薦の対象から外れることが挙げられます。理系の新卒の就職では、大学によっては学科や学部に対して企業からの推薦枠がありますが、学部卒や修士を対象としていることがほとんどです。

理系の技術職の就職では、学部や学科によっては学部卒よりも修士が有利であり、入社後の配属にも関わってきます。例えば、メーカーでは花形の研究開発の仕事に就けるのは修士がほとんどであり、学部卒は工場で生産管理などに配属されるケースが多いです。

博士が修士よりも、企業での研究職に就きにくい背景には、企業側の考え方が影響しています。博士号取得者は専門とする研究分野以外のことに対応できないのではないのかといった懸念や、年功序列が中心の日本企業では、新卒で30歳前ということが扱いにくいことが挙げられます。企業によっては、修士から育てたいと考える向きもあります。長い年月をかけて学び、研究に勤しんできた博士よりも、修士の方が企業での研究職に就きやすいのが実情です。

高学歴ワーキングプアを生みかねない「ポスドク」問題

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博士号取得者の多くが希望する、大学や研究機関への就職はどのような状況なのでしょうか。

昨今では、大学全入化時代といわれていますが、学生が増えたのは大学に限ったことではありません。大学院への進学者も、短期的には減少しているものの、1990年以降に進められた大学院重点化による定員の拡大に伴い、増加しています。しかし、大学院進学者は増えても、大学や研究機関でのポストは限られています。そのため、正規の職員として大学に就職できない、若手の博士号取得者の受け皿として設けられたのが「ポスドク」です。ポスドクとは博士研究員のことを指し、かつてのオーバードクターとは違い、収入は得られるものの、任期付きの研究員をいいます。大学教員の職位には、「助教」「講師」「准教授」「教授」があり、ポスドクが目指すのは助教です。
助教の空きができて募集があると1枠をめぐって多くのポスドクが押し寄せるとされ、研究成果を上げて論文発表をして実績を上げた、数少ない人だけがなれる狭き門となっています。ただし、ポスドクから助教になれても、助教を数年の任期制とする大学もあることから、安定した就労環境を得たとは言い難い現状があります。

博士号取得者は大学にも、企業にも受け皿が乏しく、ポスドクという不安定な雇用形態で年齢を重ねてしまうことが、問題視されているのです。

企業に就職するときの選択肢とは

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博士号の取得者が安定して働ける環境整備は社会的問題ではあるものの、現実的に今、職を求めている人が待っていられる間に解決する問題ではないでしょう。博士号を持つ既卒者が現実を見据えて企業への就職を考えたとき、選択肢は大きく分けて2つあります。

1.これまでの研究と関連する企業への就職

一つ目は就職活動をしても仕事が決まらなかった場合でも、企業規模やエリアを限定して探していたことが要因というケースもみられます。
選択の幅を広げることで、これまでの研究と多少なりとも関連性のある分野での就職が決まる可能性もあるのです。

2.全く専門分野とは関係ない企業への就職

二つ目の選択肢でも、研究論文や学会での発表を通して英語が堪能な人の場合には、英語力やプレゼンテーション能力を活かした就職といったことも考えられます。研究とは関係ない分野の仕事であっても、これまでの経験を活かす方法もあります。趣味の世界に関連する業界で働く、といったことも選択肢となるでしょう。

キャリアアドバイザーに相談する方法も

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これまで研究を続けてきた人にとっては、関連する分野への就職を目指すのか、他の道を探るべきか、自分では決断がつきにくいものです。また、専門とする研究分野によっても、企業側のニーズは変わってきます。

既卒者の就職は新卒時よりもハードルが高くなっている中、独自に就職活動を行なってきた人の中には、何社受けても決まらず、自信を失いかけている人もいるかもしれません。

そこで、博士号を持つ既卒者やポスドクの方におすすめしたいのは人材紹介会社を利用する方法です。人材紹介会社では個々の実情に合わせた職業紹介を行なっていますので、客観的な視点に立った就職のアドバイスを受けることが可能です。これまで就職活動を行なってきて、就職先が決まらない人の中には、履歴書の書き方や面接での対応に問題があり、改善を図ることによって、企業側の評価が大きく変わる人もいます。一般企業で働くと、これまでの大学での研究とは違った対応を求められることもあります。面接などの採用活動を通じて企業側は、能力だけではなく、一般企業で働くことへの適性も見ているのです。

また、一般にはオープンになっていない求人情報も人材紹介会社では扱っていますので、自分では見つけられないような求人案件に出会える可能性もあります。

まとめ

博士号を持つ既卒者やポスドクとして働いている人は、30代半ばになってから一般企業への就職に向けて動き出すよりも、20代や30代前半のうちの方が比較的有利です。結婚や子供の誕生を見据えて、安定的な収入を得たいと考える人もいるでしょう。人材紹介会社を利用することによって、就職に対する視野も広がります。一般企業への就職を考えたら、まずは人材紹介会社のキャリアアドバイザーに相談してみることがおすすめです。

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